雑感:読書感想文/ポストグローバル(10/01/14)

ポストグローバル
アレクサンダー・ゲルマン:ポストグローバルという本を手に取りました。
表紙は日本の夜景の空に銀色のタイトル、本の半分を覆う銀色の帯。見返しは蛍光オレンジ。
アレクサンダー・ゲルマンなる人物を恥ずかしながら僕は知らなかったのですが、本の美しさに思わず手に取ってしまいました。
手に触れて初めて解るのですが、つるつるとした銀色の帯は、手の汗でカバーがふやけて波打つのを防いでいます。コミックス本のようなビニールのような表紙は少し味気なく、紙の表紙は質感はしっとりしていてよいのですが、耐久性は低い。
本の半分を覆うこの帯は、本の保護の役割を果たしていると感じ、見た目だけのデザインでなく、機能的である点が目を引きました。

アレクサンダー・ゲルマンは、本によると、元グラフィックデザイナーで、38歳の若さで輝かしいデザイナーとしてのキャリアを捨て、アーティストに転身したそうです。ポストグローバルとは、ゲルマンが考えたコンセプトで、日本では今でも演説の最初などに「これからの国際化社会・・・云々」という言葉を時々聞きますが、テクノロジーが発達し、既に国際化は終わりつつあるのではないか、これからは国際化以後のこと、つまりポストグローバルの事を考えるべきではないかと彼は考えています。

具体的には、グローバル化の対極にある地方文化に今後注目が集まり、重要になるとゲルマンは考えています。
この事は、別に珍しい見方とは僕は思っていません。
例えば、建築の世界では、世界中どこに建てても同じ性能を誇る真っ白い建物がインターナショナルスタイルという名で世界を席巻し、現在もその影響下にあると言えますが、そんなスタイルをデザインした建築家達よりも、アルヴァ・アアルトやグンナール・アスプルンドといった地元の土着的(ヴァナキュラー)な建築様式とモダン建築をミックスさせた建築家の方がより人々の記憶に残っているように思うからです。

なんと言っても、この本の魅力は、日本人が抱える西洋コンプレックスを、日本独自の文化が西洋人によって讃えられる
ことで解消してくれる事にあると思います。野球に興味ない人でも、イチローの大リーグでの活躍や世界中の人々の賞賛の声が誇らしいはずです。本の内容自体も、ルポ形式やインタビュー形式、または料理のレシピと多岐に渡り、飽きません。

<参照> ポストグローバル - amazon 

(奥田)